長年、不妊の原因は全て女性にあるとされてきましたが近年では不妊カップルの約半分の男性に不妊原因があることがわかっています。そして男性の不妊原因の代表格が精索静脈瘤ですが、もう一つ重要な原因が明らかになってきました。それは男性自身の加齢です。老化は正常老化と病的老化に分類されますが、実は男性の生殖能力にも正常老化と病的老化が存在します。
今日までに明らかになっている加齢が男性の生殖能力への影響を整理すると以下となります。
男性ホルモン値は40歳以降1年ごとに1%ずつ低下する。
精子濃度は変化しない。
精子運動率が次第に低下する。
精液量が次第に低下する。
精子DNA損傷が40歳以降1年ごとに3%ずつ増加する。
精子染色体異常率が増加する。
精子の遺伝子突然変異が増加し、児の疾患の発生の原因になる。
自然流産、早産、死産の確率が男性が50歳以上でそれ以下に対して倍増する。
先天性疾患のや精神疾患、発達障害、自閉症の発症率が増加する。
正常老化による精子の劣化はどうにもなりませんが、病的老化を起こさないように生活指導や治療をしていくことが極めて重要になってきます。そのためには女性側の治療のみを進めていく不妊治療の現状を改めていかなくてはいけません。