生理とホルモンバランス

生理と深く関係する女性ホルモンとは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つのホルモンです。とくに重要なのはエストロゲンで、女性はエストロゲンの分泌量が増えると初潮を迎え、エストロゲンが分泌されなくなると閉経を迎えます。このエストロゲンの分泌を司っているのは、脳にある「視床下部」です。

 視床下部は、常に血中のホルモン量のフィードバックを受けていて、必要に応じてエストロゲン分泌の指令を出します。命令系統は「視床下部→下垂体→卵巣」です。
 指令を受けた卵巣がエストロゲンを分泌すると、子宮内膜は徐々に厚くなります。エストロゲンがピークに達したことを下垂体が察知すると、排卵を起こすためのホルモンが分泌され、排卵します。排卵後は、妊娠のための着床に向けてプロゲステロンの分泌が増えていきます。妊娠が成立しないと排卵後10日頃より2つのホルモン分泌は減り、子宮内膜もはがれて経血となり、生理を迎えます。
 このように、視床下部→下垂体の指揮のもと2つのホルモンが分泌量を変えながら、25~38日周期で妊娠のための準備を繰り返すのが、女性の体であり生理周期です。ある意味、ホルモンバランスは絶えずバランスを変化させているため、体調に変化が起こるのも自然のことなのです。
 

 ちなみにホルモン分泌を司る視床下部は、ホルモン系のほかに、自律神経系、免疫系を司っているため、ホルモン系の不具合の影響が自律神経や免疫の状態に及ぶことがあります。これが不調の原因を突き止めるのを難しくしているひとつの原因でもあります。
 気をつけたいのは不眠や憂鬱などを「きっとホルモンバランスの乱れだろう…」と我慢し過ぎてしまうこと。自律神経失調状態を引き起こしている可能性も考えられます。